■ある日のこと。3■
走は、皆が寝静まっているであろう時間になった頃、そっとガオズロックを抜け出した。
今ガオズロックが隠れている場所は、比較的あの街から近距離だった。
あの街とは…あのプールバーがある街。
そう。ガオシルバー、大神月麿がいる街だ。
(シルバー、起きてるかな)
そんな事を心配しながら、おれは早足で街におりた。
いや、そんな事、心配することないよな。
だってシルバーは…『待っている』って、言ってくれたもん。
前に昼間、シルバーのいるプールバーに行った時、シルバーは帰りかけたおれの腕を掴んで、こう言った。
『次は…いつ会える』
嬉しかった。
シルバーそれまで、おれ達のこと、信頼してくれてるようで必要としてはくれないみたいだったから。
だけどシルバーは、おれに会いたいって、そう思ってくれるようになった。
嬉しくて、だから、おれつい…
『明日も来るから。遅くなるかもしれないけど、絶対来るから』
って、何も考えずに言っちゃった。
そしたら、
『待っている』
そう言って、綺麗に微笑んだ。
ほんとに、綺麗に。
あんなの、見たことなかった。
でも…夜中に一人でガオズロックを抜け出すのは、やっぱり良心が痛んだ。
だって、やっぱりこれって、単独行動…だよね。
おれって、リーダーなのに。
でも、約束したし。
シルバーがおれに会いたいように、おれもシルバーに会いたいから。
でも…岳はどう思うだろう。
もしばれたら…怒るだろうな。
『お前にリーダーする資格はない!!』って、怒鳴るかな。
また、軽蔑されるかな。
……おれの事…嫌いになったりするかな。
「あっ…」
考え事してたら、プールバーに着いてしまった。
かちゃ…
照明は最低限に落とされていて、薄暗いバー。
店に入って右側。
そこにあるソファーが、居候のシルバーの寝床。
「来てくれたんだな」
シルバーは静かにそう言って、ソファからおれを見上げた。
「うん…」
うなずくと、シルバーは、おれに座るように促した。
おれは何も言わずに隣に座った。
シルバーの…ため息が聞こえた。
「シルバー?」
どうして、ため息なんてつくの?…とは聞かなかったけれど、シルバーはおれの仕草だけで、意図が読めるみたいで、
「いや…安心しただけだ」
答えた。
「こうして、お前が傍に居るとき、一番心が安らぐ。何故だろうな、居てくれるだけでいい」
そう言いながら、シルバーはおれの髪を撫でる。
なんだろう、おれも…安心する。
「シルバー……」
おれ、シルバーの傍に居たい。
今、そう思った。
「シロガネと…呼んでくれないか」
「えっ…?」
「その、シルバーと呼ばれても、自分のような気がしない。もちろん、お前が呼びにくいと言うなら、シルバーでも構わないが……」
シロガネ。
平安時代で、シルバーはそう呼ばれていたんだね。
本当の名前は教えて貰ってないけど、きっと今で言うコードネーム。
ガオの戦士は、名前を捨てるから。
でも、今は…おれ、戦士じゃない。
「おれはっ…獅子走。だから、おれの事は走って呼んで。…シロガネ」
シロガネと口にした時、おれはいきなり抱き寄せられた。
「っ……??」
あったかい腕を、おれが認識した時…
顎を取られ、口付けられた。
それは一瞬で離される、軽い軽いキスだったけど。
おれは自分の体温が急に上がるのを感じた。
まずい……
おれ、今、すっごくどきどきしてる…
「好きだ…愛している、走」
降りかかってきたのは、告白。
恋人がいるおれにとっては、聞きたくない言葉のはずなのに…
……嬉しい。
どうしよう、おれ…
こんな真剣な目で、こんな思いつめた目で見つめられたら…
おれも、好きだ…って、言ってしまいそう。
葛藤が、おれの瞳を揺らした。
だけど、シロガネの瞳はおれに真っ直ぐ向けられていて。
目を逸らしたいのに、釘付けにされて…逸らせないよ。
「んっ……!」
シロガネはもう一度、唇を重ねてきた。
今度は、挨拶みたいなキスじゃない。
唇の端から、少しずつ味わうように啄ばめられて、堪らなくて、自分からも唇を押し付けてしまった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
おれ、今何してる!?
シロガネと、キスしてる。熱っぽく、恋人のように。
でも、おれの恋人はシロガネじゃない。
ちょっとエッチはヘタだし、自分勝手だけど、おれの恋人は…鷲尾岳。岳だよね!?
でもっ…
「…ん……っ…」
深く、舌を絡めて。
もっと、きつくして。
どうしよう…めちゃくちゃ気持ち良いっ…!!
とろけちゃいそう。
とうとうシロガネにしがみついて、おれも積極的にシロガネを求め始めて。
ダメだって…わかってるのにっ!!
「……ぁっ…」
息をつく為に、唇を少し離しても、白い糸は繋がったまま。
また、貪る様に口付けるおれたちは、もう…何も考えられなくなりそうだった。
だから自然に、服は床に落ちていく。
狭いソファから落ちない様に、重なって寝転がって。
「シロガネ…」
「走…」
お互いの名前を、切なげに呼び合う。
もしかしたら、罪の意識も手伝っているのかもしれない。
こんな事、しちゃダメなんだ…って思うと、体が熱くなる。
熱い肌が、触れ合って、さらに熱を持って、おれたちに際限は無かった。
だから…シロガネの欲望が、おれにあてがわれた時も、さして抵抗しなかった。
「ぁ…っ……シロガネっ…!……あ…」
先端は、おれの秘部を探し当てて、ゆっくりと押し開けてくる。
痛くはない。
慣れた…とは言わないけど、それでも、痛みを逃がす方法をおれは体で覚えていたし。なにより、たくさん感じたせいで、良く…濡れてたし。
でも、まだ。
まだ、おれの快感にはたどりつかない。
もっと奥。
もっと奥だよ。
おれの神経は奥にあるから。
「んく…っ……」
シロガネのは、岳より少し大きい気がした。
重みも…ある。
全部入ったのか、シロガネは一度息を落ち着かせて、少し引いて、勢いをつけて貫いてきた。
「あぁっっ!!」
思わず大声が出る。
うそっ…
気持ちよすぎるっ…!
「あっ…あっ……!」
そう。
そこだよシロガネ。
そこがおれのイイところ。
シロガネは、思いっきり、おれのイイところを刺激してくれる。
何度も。何度も。
「あぁっ……あ……あっ…!!」
目の前が真っ白になって、体中がざわめいて、気持ちよすぎて死にそう。
ぐちょんぐちょんって、卑猥な音が耳に届く。
シロガネの光悦な表情が、ぼんやりと霞んでは消える。
動きはどんどん速くなって、おれも一緒に動いて。
「あっ…イクっ……イクよぉっ…!!」
ほとんど同時にイッた。
だけど、シロガネの勢いのある精液に奥の奥まで犯されて…
おれは、気を失ってしまった。
まだまだつづく
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ヤりました!ついに銀赤のHを書きました!
しかし、今回あんまり描写してません。ヤってるんだけど、こんな中途半端な描写じゃ、やおいおねえさま方の夜のオカズにはなりませんね。反省。
きっと、私の疲れがたまっているのでしょう。だからHにスタミナがないんだ♪きっとそーだ♪
もっと体力つけてから、黄赤Hを描きますので、次「ある日のこと。4」もお楽しみに♪