恋のクスリ


「あぁーーーーーーっ!!」
 ブルーの悲鳴が台所から聞こえた。
「ないっ!なくなってる!!」
 何事かと思い見に行ってみると、空のコップを握り締めたブルーがいた。
 どうやら、何かを紛失したらしい。
「あっ!イエロー、ここに置いてたジュース飲んだ?!」
 俺の姿を見つけて、ブルーが詰め寄ってくる。
 なんだ。
 どんな大変なものかと思ったら、ジュースか。
「飲んでねーよ。そーいや、さっきレッドがジョギング帰りに何か飲んでたが…」
「げーっ!レッドが飲んだの?!」
「そーじゃないかと言っただけだ。…ったく、ジュースぐらいなんだ。冷蔵庫にまだあるだろーが」
「あのジュースはただのジュースじゃないんだよっ」
「タダのジュースは無いな」
「ちっがーう!0円って意味じゃなくて…あぁもぉ、いいよっ!!」
  こんっ
 くるりと反転して、ブルーはコップを流しに乱暴に置いた。
 まーた、怒りにまかせて行動する。
 コップ割れるぞ…
「イエロー」
 やたら声を低くして、ブルーが俺をよぶ。
「なんだ」
「もし本当に、レッドがあのジュースを飲んだなら…今夜あたりはレッドに近づかない方がいいよ」
「はぁ?」
 意味深な言葉を残し、ブルーは台所を去っていった。
 なんなんだいったい…



 で、夜になったわけだが…
 走に近づくなって、どーゆー事だ?
 まさか、あのジュースを飲むと、夜に巨大化して暴れ出すとか?
 …ばかだな、俺も。
 まーいいか。
 今日は結構疲れてるし、このまま寝ちまうとするか。
 そう思って、俺は自分のベッドに横になった。
 ベッド…走がいないと、案外広いんだな。
 なんて、妙な考えに苦笑しながら。





 おかしい…体がうずうずする。
 今日もいっぱい運動したし、疲れてるはずなのに…
 なんでだろ。
 ベッドに入っても、眠れない。
 下半身がじくじく疼いてる…これは……
「……………くそっ」
 とうとう、おれは起き上がった。
 なんか…やっぱり、おかしいよ…
 おれ、どうしちゃったの?!
(岳……)
 おれ……
 岳に…会いたいっ!
 そう感じた時、おれは行き慣れた岳の部屋への廊下を歩いていた。





  かちゃ…
 ドアが開かれる音に、俺の落ちかけていた意識は現世へと呼び戻された。
「走…?」
 こんな時間に俺の部屋へ来る奴など、容易に想像できる。
 起き上がって見ると、やはり走だった。
「岳……」
 俯いていた走の顔が上げられると、泣いた様に濡れた瞳が現れ…
 乱れた衣服もあって、ひどく走が扇情的に映った。
「どうした?泣いたりして」
「なく…?あ…」
 走は自らの目元に触れ、初めてその事に気づいたらしい。
「走?」
 俺は立ち上がって、走の元へ歩み寄った。
 背はそんなに変わらないのに、再び俯いた走が、ひどく小さく見える。
「いったい、どうしたんだ?」
「岳っ」
「うわぁっ!!」
 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
 しかし、冷たい床の感触に、我に帰る。
 走が、俺を押し倒したのだ。



「かけるっ…!」
「岳…ごめん、おれ…今日は変なんだ…」
 謝りながら、走は俺の首筋に喰らいついてくる。
 強く吸いつけては離し、俺にその痕を残していく。
「やめ…ぁはっ……!」
 俺の身体を、まるで獣の様に貪る走は…おれの知ってる走じゃなかった。
 服は破り取られ、裸体は走の前に曝け出される。
 ひやりとした汗が、走の腕の中で流れ落ちていく。
「岳…もっと…」
「なっ…んんっ……」
 強引な唇が、俺を黙らせる。
 最初から、深いキス。
 走の熱い舌が、俺を求めて絡んでくる。
 ぐぐっと吸い取られて、俺の舌も走の中へ。
「んーっ…んぁっ……っ…」
 酸欠で頭はくらくらしてきて、それでも走は俺を解放しない。
 このまま、意識が無くなってしまうんじゃ…
 そう思いかけた時、
「っ!!」
 痛みに、俺の体は弓なりに跳ね上がる。
 走が、俺を力任せに握りしめた。
「かっ…かけるっ……!あぁっ…!!」
 解かれたキス。俺の声は防ぐものを無くし、部屋に響く。
 走の唇は、するすると俺の身体を滑り落ちて…
「うあぁっ……っ…!!」
 俺のモノは、熱い口に含まれた。
 ねっとりとした感触に、背筋が震える。
「あっ…はぁ…っ……かけ…ぁ……っ…」
 俺の口からは、情けない声しか出ない。
 走を制しようと、走を伺うが…
「か、かける……?!」
 走の異常な眼に、俺は初めて、走に恐怖した。
「あぁぁっ…!!」
 噛み付く様な走の口は、俺をどんどんその気にさせていく。
 痛みと同じくらい、強烈な快感が、走から流れ込んでくる。
 もう、逃れようとは思わなかった。





「ルーアル??」
 草太郎は首を傾げた。
 オレは、レッドに飲まれた(決め付け)ジュースについて、草太郎に話した。
「そ。いわゆる…欲情剤?みたいな」
「それをジュースに混ぜて」
「うん」
「自分に飲ませようとしたのか」
「そーだよ」
 オレの即答に、草太郎は頭を抱えた。
「なんだよー、その態度ー。オレは草太郎がヤってくれるかなーと思ったから、わざわざ買ってきたのにー」
「海…自分は、海に欲情してないわけじゃないんだ」
「欲情してないっ!オレなんか、所詮オトコだしっ!魅力ないんだろっ」
「あのねぇ…」
「ばかっ!草太郎のばかーっ!!」
「あ!海…」
 オレは草太郎の部屋を飛び出した。
 けど、あいつは追ってもこない。
 きっと、一人でまた頭抱えてんだろーな。
 ばーか。
 今度また、食事にクスリ盛ってやるからなっ!



                               おわり





 後日談…
「あれー?イエロー、ジャケットは?」
 走に散々食い尽くされた翌朝。
 俺は走にこう聞かれた。
「てめぇが引き裂いたんだろーが。ナイフでっ」
 俺の声は小さく低く、走には届かなかった様で、
「え?なに??」
 走は目をくりんとさせて、聞き返してきた。
 こいつ、昨夜の記憶ねーな…
 獅子が性獣に化けたか。
 俺も忘れよ…



                              






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キャーvv
なーんか、赤黄書いたの初めてですよー♪
昇慶は書いてたんだけどさ。
「いかに、かけるんのキャラを残しつつ攻めに仕立て上げるか」に、結構悩みました。
結果、クスリで無理矢理攻めにしましたー♪
マジ、ゴメンです。私のバカさ加減炸裂です。えへっv
と、とにかく!氷星さんに捧ぐ〜♪
 
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