6ヶ月先のカレンダー。
そこの一つに○印をつけた。
それは、アスランが帰ってくる日。
「まだ、何日もある…」
当然だ。
アスランは今朝、行ってしまったんだから。
出張先のコロニーは遠い。
「アスラン…」
カレンダーの前で、座り込んだ。
自分の身体を抱きしめた。
涙を止めてくれる彼はいない。
「ばか…アスランのばか」
どうして、行ってしまったの。
■ 出張1日目 ■
夕食は一人分。
アスランを待たない、いつもより少し早めの夕食。
美味しいものを食べさせたくて、一生懸命覚えた料理なのに。
食べてくれるアスランがいないんじゃ、意味がない。
野菜炒めの残りをゴミ箱に捨てている時、
電話が鳴った。
「アスラン…!?」
すぐに電話をとった。
『キラ?俺だよ』
「アスラン…」
声を聞いた瞬間に、涙がこみ上げてきた。
「…遅いよ」
『え、ごめん。今、出張先についたとこなんだ』
「すぐ電話してくれたの?」
『うん、キラが泣いてるような気がして。遅いって言われるとは思ってなかったな』
苦笑しているのが、目に見えるようだった。
どうして、うちにはTV電話が無いんだろう。
アスランの顔が見えない。
でも、涙は見られなくてすんだ。
「泣いてないよ…」
『そう?なら、よかった。俺の方は、明日にでもホームシックになりそうだけど』
「泣いてる?」
『今はまだ大丈夫。キラの声を聞いてると、ほっとするよ』
「うん…僕も」
冷たかった心に、暖かさが戻ってくる。
アスランの声は、魔法みたいだ。
『今、そっちは夜?』
「そうだよ」
『なら、時差はそんなに無いんだね』
「そっちも夜なの?」
『どちらかというと、夜中かな』
「そうか。こっちはいつでも電話してくれていいんだからね?」
『うん。俺の方は、昼は会社だから…』
「わかってる。こっちからは電話しないよ」
『ごめんな?』
「いいんだ。出張、がんばってね」
『あぁ…』
ちゅっと…キスの音が聞こえた。
耳元にキスされたようで、くすぐったい。
「アスラン、恥ずかしい…」
『そう?じゃあ、また明日な』
もう切っちゃうの?
…なんて、言えなかった。
アスランは長旅で疲れてるんだし。
「うん…」
『おやすみ』
「おやすみ、アスラン」
ぷつ…と切れる音が聞こえても、僕はしばらく電話を置けなかった。
押入れを開く。
「久しぶりだね…トリィ」
「トリィ!」
ぱしゃぱしゃと、羽を鳴らせて。
もうひとつのアスランが目覚めた。
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02の中に入れてもよかったんですが、なんとなく分けてみました。
あんなに一緒だったのに…ねぇ。
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