■  RAINY NIGHT  ■



 がちゃ…と、ドアの開く音が聞こえて。
 僕は玄関に向った。
 そして、旦那様を笑顔で迎えようとしたのだが…
「ど、どうしたのアスラン!」
 愛しの旦那様は、ずぶ濡れだった。
「やぁ…ただいま」
 濡れた前髪をかきあげて、苦笑してる。
 あ、黒髪って濡れると、すっごくセクシーだなぁ…
 なんて見とれてる場合じゃない!
「今、タオル持って来る!」
 このままじゃ家に入れないので、僕は慌ててバスタオルを取ってきた。
 渡すと、アスランはがしがし頭を拭きながら、まいったよ…なんて言ってる。
 でも、そういえば…
「アスラン、傘持ってたのに…どうして?」
 今朝の天気予定を見て、確かに傘を持って出かけたはず。
「あぁ…盗まれた」
「えぇっ!?」
「会社の前に置いてたんだけど、無くなってたんだ」
「あっちゃぁ…」
 なんと、不幸な。
「寒かっただろう?」
「そりゃあもう」
 触って…と言われて差し出された手を握ると、氷のように冷たかった。
「災難だったね…」
 僕はアスランの冷たい手をぎゅっと握り、さすってあげた。
「あったかいね、キラの手」
「僕は家の中だったから…。あ、服脱がないと」
「あぁ、そうだね」
 手を離し、アスランは濡れてくっつく服を脱ぎ始めた。
 絞ったら、じゃばじゃばーって水が出そう。
 靴を脱ぐと、中までべちょべちょ。
「あ、その靴どうする?明日履けないね」
「そうだなぁ…脱水とかできる?」
「靴はムリ、だと思う」
「そうか、仕方ないな。明日は運動靴を履いていくよ」
 濡れたスーツを受け取って洗濯機に放り込み、
 新たなバスタオルを取って、再び玄関に戻る。
 下着だけであまりに寒そうなアスランを、ふわっとタオルで包んであげた。
「キラ」
 その瞬間、急にぎゅっと抱きしめられ、僕は後ろにバランスが崩れる。
「わ…っ」
  ごんっ
「いったぁ…」
 思いっきり後頭部を打ってしまった。
「あ、ごめん」
「ごめんじゃないよ、まったく!」
 抱きしめるなら抱きしめると、先に言ってくれなきゃ準備ができないだろ!
 あー…頭痛い…
「いったい、なに?」
 ぶすっとして言うと、アスランは苦笑した。
「押し倒したかったから」
「はぁ!?」
「だってさぁ…ひどいんだよ…」
 アスランは僕の耳元で溜息をつく。
 あぅ…そんなとこに熱い息を吹きかけないで欲しいなぁ…///
「俺は傘を盗まれて、どしゃぶりの中走って帰ってるのに、
 その横を相合傘で通るカップルが、それはもう幸せそうで…」
 なんか、泣きそうな声になってるし。
「…だから?」
「俺もキラと相合傘したい…」
 今度は僕が盛大に溜息をついてやった。
 最近わかったことだけど。
 アスランはこういうとこ、とことんバカなんだ。
「キラと相合傘して、幸せそうに通りを歩いて…」
「はいはい、わかったよ。今度ね?」
 僕の上で泣きそうな大きな身体を、よしよしと撫でてあげた。
 普段はかっこいいけど、こういうとこは可愛いと思う。
 子供っぽい、というか。
 変なとこでこだわりを持ってる、というか。
 僕のこと好きなんだな…って実感する。
 愛されると、無性にその人が可愛く思える。
「キラぁ…」
「ん、なぁに?」
 少し大人ぶって微笑んでみせると、アスランが唇を重ねてきた。
 冷たい唇…。
 僕は暖めるように、その唇を舐めてあげる。
 すると、アスランの舌が僕の舌に触れて。
 それが口火のように、キスが深くなる。
「ぁ…」
 ここまでくると、感じずにはいられなくて。声が出てしまう。
 身体は冷たいのに、舌は熱い。
 アスランの口の中も。
「んぅ…アス……」
 首に腕をまわして、甘い気分に身をゆだねた。
 玄関先でこんなことするの、初めてだ…。
 あ、鍵かけたかな?
 そういえば、かけてなかったかも。
 そうだよ、アスランが帰ってきてから鍵触ってない。
 このマンション、オートロックじゃないし…。
「アスランっ…待って…」
 僕はぐっと力を込めて、アスランを引き離した。
「なに?」
「ドア、鍵かけてない…!」
「なんだ、そんなことか…」
 そんなことどうでもいいのか、アスランは再び唇を重ねようとするけど。
「待って待って!誰か入ってきたら…!」
「こんな時間に誰も来ないよ」
「そんなのわかんない!」
「心配性だな…大丈夫だよ。それより身体寒いから、温めて?」
 って、服脱がそうとしてるし!
 あーもう、バカバカ!
 信じられないよ、アスランって。
 大事な妻の裸を来訪者に見られてもいいのかっ!?
 …自分で「大事な妻」なんていうのも変だけどさ。
 でも、アスランの身体は本当に冷たくて。
 寒い雨の中、駅から走ってここまで来たんだなぁ…って思うと、なんかかわいそうで。
 だって、僕だったら泣いてるかもしれないし。
 ・・・・・。
 しょうがないなぁ、もう。
「わかった」
「キラ?」
「あっためてあげるよ…」
 ちゅっと、唇にキス。
 すると、嬉しそうに微笑むんだから。
 あーあ…僕って、本当にアスランが好きなんだなぁ…。
「キラ、大好きだよ」
 ぎゅーっと僕を抱きしめて、肩にキスをくれる。
 僕も大好きだよ。
 でも…
 よく考えたら、駅からうちに電話すればよかったんじゃないの?
 そうすれば、僕が傘持って駅まで迎えに行ったのに…。
 ・・・・・。
 …もういいか、いまさら。
 言ったらアスラン、ショック受けるだろうし。
「はぁ…」
「え、なに?」
「ん、なんでもない」
 気づかない方がいい。
 早く身体、暖めてあげなくちゃ。
「ぁ…ん……」
「キラ…、最後までしていい?」
「・・・・・」
 どうしよう。
 でも、途中でやめられると困っちゃうしな。
「…しょうがないなぁ」
「やっぱり、いや?」
「ううん、そうじゃないけど。鍵かけてくれたら」
「だから、こんな時間に人なんて来ないって…」
 と、アスランは下半身に触れてくる。
 …大丈夫かな。
 まぁ、今は夜の8時だし。
 いきなりドアを開けるような非常識な人はいないと思うけど。
「ゃん…アスラン、いきなりはダメだよっ?」
 後ろに触れてくる指を、めっと叩く。
「だめ…?」
「だーめ。…いっぱい触ってくれなきゃヤダ」
 背中をそーっと撫で上げると、アスランがびくっと反応してくれた。
 やんわりと、体温が上がっていくのがわかる。
 少し躊躇ってから、アスランの股間に触れ、その感触を確かめた。
「…?」
 いつもと違う触り方に気づいたのか、アスランが不思議そうな顔をする。
「ん、あのね…寒いから縮こまってないかと思って」
「…言ったな」
 あ、怒ってる怒ってる。
 子供だなぁ。
「冗談」
 笑って唇を重ねてみせるけど、アスランはむーっとしている。
 アスラン、自分が小さいの気にしてるんだよね。
 僕より大きいんだから、別に気にしなくていいと思うんだけど。
 それに、中に入るときは十分大きいし…///
 僕としては、僕の中を全部埋めてくれれば、それで十分なんだから。
「いいさ、絶対きたえてやるから」
「ここを?」
「そう」
「いいよ、これ以上大きくならなくて。入らなくなったら嫌だもん…///」
 あぅ…結構恥ずかしいこと言ってるなぁ、僕。
 でも、本音だし。
「ね…それより、あったかくなった?」
 僕は話題をそらして、アスランのものを撫で撫でした。
 堅くなり始めたそれは、熱を帯びつつある。
「うん…もう少し、かな」
 やっぱり、最後までしたいんだ。
「キラ…キラの熱を分けて?」
 僕の身体を撫でていた手で、また後ろに触れてくる。
 がっついてるな…。
 まだ挿れられる程感じさせてもらってないよ?僕。
「ん…アスラン、早いから…!」
 指が僕の中に入ろうとしてる。
 そんなのいきなりされたって、無理なんですー!
「すぐ柔らかくなるよ…」
「ぁ…やぁ……」
 もう一方の手で、前を弄られる。
 アスランの冷たい手が、僕を昂ぶらせていく。
「っ……ん…アスぅ…」
 前から感じちゃって、後ろが弛緩していくのがわかる。
 だってアスランの指が、するんと中に入ってしまった。
「キラ、気持ちいい?」
「ぅ…ん…やぁ……っ」
 くりくりって、中弄られるともうだめ。
 声が喉から溢れてきて。
 感じて、どきどきする。
 もっと奥まで触れて欲しくなる…。
「アスラン…っ…」
 恥ずかしいけど、僕はアスランの身体に自分の身体を押し付けた。
 もっと、指が欲しい。
 もっと奥まできて?
「ほら、俺の言った通りだろう?」
「ぁ…はぁ……何が?」
「すぐ柔らかくなるって」
 …ばか。
 そんなのは全部、アスラン次第なんだからっ。
「も…いぃ……」
 二本挿れられて、僕は目を閉じて快感を追った。
 中で、指がひろがったり閉じたりしてる。
 その度に、うずうずが僕をかけめぐって。
「キラ…もういいよね?」
「ん…っ…いぃ……早くぅ…」
 言っちゃった。
 あー!恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしいっ!!
 なんかもう、アスランにどんどん淫乱にされちゃて。
 責任…結婚って形でとってもらったけど。
 それでもまだ責任とり足りない!
「やぁっ!」
 アスランのものが、僕の中に入り込んでくる。
 たまらず、ぎゅっとアスランを抱きしめて、痛みとも快感ともつかないものに耐えた。
 目を閉じているのに、眩しいくらいで。
 僕はアスランの、すっかり暖まった身体に爪を立てた。
「キラ、あったかい…」
「あんっ…アスランも…あついぃ…!」
 いったりきたりする、その波が、そのまま火花に変わる。
 熱い、熱いアスランが僕を揺らす。
「やっ…あ…あっ…!」
「キラ…」
「ぁっ…ダメっ…も、だめぇ…!」
 耐えられない。
 うずうずが、僕から出ようとしてる。
 早く、イかせて…!
「ん…いいよ…!」
「ッ…あぁっ……!」
 ―――――。
 …初めて、玄関で最後までしちゃいました。
 あぁ…僕もばか…。
 抜くと、アスランの残留がフローリングにしたたり落ちた。
 僕の出したのも、床を汚してしまったんだろうか。
 いつものように、アスランのお腹に擦りつけながら出してしまったんだけど…///
「掃除…しなくちゃ…」
 まだ身体に力が入らなくて、起き上がれない。
 アスランも、まだ息を整えてる。
「そうだね…消臭もしないと」
「うん…」
 そうだ、アスランの言うとおりだ。
 消臭しなくちゃ。
 エッチな匂いのする玄関なんて最悪。
  ぴんぽーん
「ぇっ…」
 嘘…。
 チャイムの音。
 来客!?
 耳鳴りのせいで、足音とか何も聞こえなかったけど。
 このドアの向こうに誰か来てる!?
「・・・・・」
 アスランも唖然としてる。
 どうしよう。
 今、とてもじゃないけど立ち上がれないよ!
  ぴんぽぴんぽーん
 やだー!
 そうだ。ここは居留守しかない。
 それしかない!
 アスランもその結論に達したようで、息をひそめている。
 お願い!
 どこの誰だか知らないけど、今は帰ってー!
  ぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽーん
 何回も鳴らさないで!近所迷惑だから!
 あーもう、ほんとお願い。
 神様…!
『留守か?』
 声が聞こえる。
『あぁ、そうみたいだ』
 もう一人。
 二人とも男の人だ。
 でも…どこかで聞いたことあるような…。
『ん?おい、電気ついてるじゃないか』
 やばい!
『あれー?おっかしぃな』
『居留守でも使ってるんじゃないか?』
『そうかも…あ、鍵開いてる』
 ぎゃー!!!
 やめて、お願い!開けないでーっ!!
『開けてしまえ』
『そうだな』
 僕…気絶してもいいですか?
  がちゃ
「っな…!」
「貴様ら、何してる!」
 入ってきたのは、ディアッカとイザーク。
 あぁ…局部はバスタオルで隠れてるけど…。
 何してたかは一目瞭然…。
「や、やぁ」
 アスランは振り返って挨拶したけど。
 その顔はひきつっていたに違いない。
 …僕、やっぱり気絶しよう。



 イザークとディアッカは、このコロニーに引っ越してきて、挨拶にやってきただけだった。
 でも、あんな時間にくるなんて…。
 とりあえず、アスランが適当に応対して、早々に帰ってもらったけど。
「ここからエレカで20分くらいのとこのマンションだって」
「ふぅん…」
 僕もう、あの二人に顔見せられない。
「キラぁ…いいかげん許してくれないか?」
「知らない」
 アスランとは目を合わせないで、僕はむすーっとごはんを食べた。
 なーにが大丈夫なんだよ。
 あの時鍵をかけておけば、あんなことには…!
 とりあえず、今日はベッドに入れてあげないんだから。





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バカ夫婦炸裂。(笑)
ギャグですねこれは。
シリアス書けないけど、おもろいのはがんがん書けます。(←関西人)
ディアッカとイザークが微妙な近さのとこに引っ越してきて、
はたしてこれからどんなバカな事が起こるんでしょう。(笑)
 




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