■ おりてみよう ■






 外にでると、眩暈がした。
 地球の日差しは、コロニーとは違う。

「何ルクスくらいなんだろう…」

 空を見上げながら呟くと、アスランがぷっと笑った。

「そんなこといいじゃないか。ほら、ぼーっとしないで」

 そう言って僕の手を引くアスランは、にこにこしていた。

 新婚旅行…になるかもしれない。
 休戦になって、僕たちは静かにあるコロニーで生活していたけれど。
 商店街の福引で当たったハワイ旅行に、アスランと二人で地球におりた。

 久しぶりの地球。
 あの時は戦争中で、ゆっくり地球を感じられなかった。

「見て、キレイな海だね」

 アスランが指差す。
 青い海。
 写真のような世界。
 海を見るのは、初めてじゃないけど。

「うん…」

 甲板から見た海とは違う、波打ち際の海は、なぜか僕をせつなくさせた。
 人がいっぱい。
 でも、MSもMAもない。

 こんな世界、幻のように思えた。

「キラ…?」

 ツアーの群れから置いてけぼりになる。
 なのに僕の足は、その場を動けなかった。
 ただ、アスランの手を強く握った。

「キラ、行くよ?」

 頬に、キスの感触。

「あ…うん」

 ご機嫌なアスラン。
 あぁ、僕なんでこんなとこまで来てセンチメンタルになってるんだろう。
 せっかくアスランが楽しい旅行にしようとしてくれてるのに。

 足が動いた。



 ハワイの海も、空も、僕たちを歓迎してくれた。
 地球の天気は気まぐれだけど、今日は晴れてよかった。
 
 砂浜にパーカーを脱ぎ捨てて、水着で海に駆け入った。

「アスラン、もっと沖に行ってみようよ!」
「え、危なくないか?」
「平気だって」

 アスランと遊んでいると、楽しくて。
 子供のようにはしゃいだ。

「わっ…」

 足がすべる。

「キラ!」

 とっさに、アスランが僕を抱きかかえてくれる。

「っび、びっくりした…」
「だから危ないって言ってるのに」

 アスランが笑い、僕も笑う。

 いつもなら、裸で肌が触れ合うと変な気分になってしまうのに。
 今日はぞくっともしなかった。
 感覚が、子供のころに戻っているみたい。

「アスラン…好きだよ」

 言いたくなって、言ってみた。
 だって今、好きだなぁって思ったから。

「うん、僕もだよ」

 あ、アスラン今…自分のこと「僕」って言った。

「同じ気持ちなんだ…?」

 アスランも、子供のころに戻っているんだ。

「同じ気持ちだよ。負けないくらい、キラを愛してる」
「僕の方が愛してるよ」
「いや、そこはゆずれないな」

 波は、抱き合う僕らを撫でていく。

 口付けは、熱気に溶けていく。

「ねぇ、今夜は…昔みたいに抱いてくれる?」





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恋は〜ジェットコースター♪(kinkiかよ;)
久しぶりなUPなので、全年齢で。(笑)
 




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