■ カフェオレ ■
「キラ、ミルクいっぱい入れるよね? 砂糖は3つでいい?」
「うん…」
アスランはインスタントコーヒーにホットミルクを入れて、ほとんどカフェオレ状態のコーヒーを、眠そうなキラの前に差し出した。
「ほら、キラ。これ飲んで、目覚まして。来週の試験に間に合わないよ?」
「う…ん…わかってるけど…。眠い…」
「でも、まだ半分もいってないよ。今夜中にこれはやっとかないと」
「ねぇ、明日の朝やろうよ」
「だめだって。僕朝は弱いんだから」
「僕は朝の方が得意なのにー。アスラン勝手だよ」
そう言ってキラは、カフェオレにも手をつけないで膨れてしまう。
「キラぁ…」
「いつも僕がアスランの思い通りになると思ったら大間違いなの!」
「じゃあ…寝る?」
「寝る!」
「じゃあ、とりあえずこれ飲んで? せっかく入れたんだから」
「うん。 これ飲んだら寝るからね?」
カップを両手で持って、ふーふーと息を吹きかけて、
こくん…と飲むその姿の可愛らしさといったら。
それだけで、アスランは幸せな気分になる。
恋とはかくも恐ろしきかな。
「なに?」
アスランの視線にどきりとして、キラは顔を上げる。
「あ、いや…」
「ものほしそうな顔して。アスランは自分のコーヒーあるでしょ?」
「そうじゃなくて、キラって何しても可愛いね」
「?」
「そうやって、大事そうに飲むところとか。ほんとに、今すぐ抱きしめたくなる」
「だめだよ」
「え?」
「だめだからね。今日はもう寝るんだから」
厳しい口調で言い直すと、キラはぐぐーっとカフェオレを飲み干した。
「ごちそうさま」
「あ、ほんとに寝ちゃうの?」
「当たり前!僕は眠いのー」
勉強道具もそのままに、キラはベッドに這い上がって布団をかぶる。
そのすねたような仕種も可愛らしくて、アスランは苦笑を漏らした。
「じゃ、僕も寝ようかな」
アスランはキラのかぶった布団をめくり、その横にもぐりこんだ。
「アスランっ」
「いいじゃない、二人でも寝れるんだから」
「ほんとに、今日は眠いから。だめだよ?」
「わかってるって。ただ…」
「ただ?」
「おやすみのキスくらい、してくれるよね?」
「えー…」
「だめ?」
「もう…それだけだよ?」
キラはアスランの方に寝返って、自分から唇を重ねた。
そのやわらかさにたまらず、アスランはキラを強く抱きしめて口付けを深くする。
「んぅっ……!」
「キラ…」
「アスランっ…ん……」
「…甘い」
「ぁ…ん……」
「カフェオレの味だね…」
舌を絡ませあって、その音さえ絡めとるように。
カフェオレの甘さを味わいながら。
アスランは自分用に入れたブラックコーヒーの存在を、すっかり忘れていた。
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衝動食べ物甘甘シリーズ第2弾!
こんどはカフェオレだ。
前はクリームシチューだったっけ。どちらもまなの大好物です。
カフェオレ元ネタはまな記だったり。
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