■ 交錯  《1》 ■






「服を脱げ、身体検査だ」

 そう言われ、キラは素直に従った。
 いや、素直に…とは語弊がある。従うより他にないのだ。
 銃を突きつけられていては。




「へぇ…ほっそい身体。女みてぇだな」

「がっつくなよディアッカ、ゆっくり嬲るんだ」

「わかってるって、お前こそ抜け駆けすんなよイザーク」

 銃を持っているほうがディアッカ。
 キラに命令を下したのがイザークというらしい。

「さぁて…どうするかな」

 イザークが値踏みするように、キラの裸体を見る。
 どこから苛めてやろうか。
 目が、そう語っている。

 キラは羞恥を越えた恐怖に、瞳を閉じた。
 何をされるのか、大体の想像はつくが…
 もう、何も考えないようにした。

「んっ……!」

 急に乳首に刺激を感じ、恐る恐る目を開けると、
 ディアッカが銃口で乳首を押しつぶして遊んでいた。

「立ってるな、ここ好きなのか?」

「ち、違う…っ」

「ふぅん…まぁ、嫌いでも好きでもどっちでもいいけどな」

 ディアッカはくつくつ笑いながら、キラの乳首をぐりぐりと虐める。

「痛っ…ぁ……」

「あ、聞いたかイザーク、こいつイイ声出すぜ」

 ディアッカの言葉に、イザークも静かに笑う。

「そうだな…イイ声だ」

 そうしてイザークは次の命令を下す。

「下も、脱げ」

「えっ…下…」

「早くしろ」

 キラはスポーツパンツのゴムを両手に握った。
 銃口は、まだキラの胸にある。
 逆らうことはできない。

 キラは意を決し、パンツを下ろした。
 ぷるんっと、男の子が飛び出してくる。

「さすがはザフトの薬、よく効いている」

 イザークは元気なキラの下を確認し、感嘆した。

 先ほどキラが無理やり飲まされた薬は、やはり淫媚薬の類であったらしい。
 望まない熱を感じてはいたが、
 まさかこれほど簡単に自分の身体が変化してしまうなんて…。

「貞淑なふりして…しっかり勅たせるあたり、アスランの好みそうな感じだな」

 イザークのその言葉に、ディアッカが眉をしかめる。

「ひゃっ…!」

 そしてディアッカは、乱暴にキラの身体を押し倒した。

「ディアッカ、急ぐなと言っただろう」

「オレはヤりたいようにヤる。お前は大好きなアスランのことでも考えてな」

 冷たくそう言い放つと、ディアッカはキラの下肢に手を忍ばせる。

(大好きな…アスラン?)

 キラはディアッカの言葉を反芻した。

(このイザークっていう人…アスランのことが好きなの?)

「いやっ…い、痛っ…痛いっ」

 与えられるのは、愛撫とは程遠いもの。
 ただ性帯感を悪戯に刺激されるだけの…拷問。

「そうそう、そうやってイイ声だしてな」

 しかし、キラの身体は男が喜ぶような嬌声を発する。
 キラの意思とは違うところで、気持ちよくなっているというのか。
 ディアッカは嬉しそうに、キラの大事な部分を乱暴した。

「やめろ、ディアッカ。つまらん嫉妬はよせ」

 ディアッカの言った、大好きなアスラン云々の言葉に、イザークは溜息を交える。

「お前が言うか?イザーク。お前だって嫉妬してるくせに、このぼうやに」

「ばか言え」

 イザークはキラの髪を掴み上げる。

「いたっ…」

「アスランがこいつを大事に思っているのが、気に入らないだけだ」

 イザークは、キラの顔を忌々しく見下ろした。

「それを嫉妬っつーんだよ」




 うつ伏せにされ、キラは秘められた入り口に銃を宛がわれた。

「ひっ…」

 冷たい銃口に、身体が竦む。

「待て、ディアッカ。そのまま入れるつもりか」

「は?」

「いいものがある」

 と、イザークはポケットからチューブを取り出す。
 そのパッケージを見て、ディアッカは「あぁ」と納得した。

「それも、ザフトの薬か?」

「さぁな。知り合いの研究者から貰ったものだ。…さっきの薬もな」

 イザークは軟膏を手に取ると、キラの唇に塗りつけてきた。

「んっ…や……なに…んんっ…」

「痺れてくるだろう。人間、一番最初に性感を感じるのは唇らしいからな」

 苦い味が、唇から染み込んでくる。
 それと同時に、まるで麻酔をかけられたように唇の感覚がなくなっていく。

「ほら」

 イザークはキラを挟んだ向かいのディアッカに、チューブを手渡した。
 ディアッカは無言で頷き、軟膏を銃口に塗り、再びキラの秘所に宛がった。
 そして、躊躇なく挿入する。

「いっ…あぁっ……!」

 キラは自分の身体が開かれる感覚に身悶える。
 無機質な冷たい銃口は、キラの身体の熱を奪い…
 しかし、次の瞬間には身体が熱くなった。

「…やっ!…そこ…だめっ……」

 自分の嫌でも感じる場所が、銃口によって引っ掻かれる。

「そうか…ここか」

 ぐりぐりと、ポイントを探り当てた銃は執拗にキラを追い立てる。

「あっ…あっ…いやぁっ…」

 ぼろぼろと涙を零すキラの顔に、イザークは冷笑を浮かべた。
 キラの涙は熱く、頬は染まり、瞳は朧にイザークを見上げている。

「ふ…もういいだろう。随分感じているようだ」

「そうだな」

 ずるりと、銃が引き抜かれる。

「あぁっ…」

「寂しそうな声だすなぁ。心配しなくても、もっといいもの挿れてやるよ」

 ディアッカが前を寛げる音に、キラは振り向き、青ざめた。

「い…いや…おねがい……やめ…」

 男の凶器のようなものを見せ付けられ、キラは涙も引く。

「おねがい…それだけはっ…」

 ディアッカがいまにも、キラに攻め入ろうとしている。
 おかしな薬で、キラの秘所はひくひくと疼いているが、
 見知らぬ男に犯されるくらいなら、このまま悶え死んだほうがましだ。

「それだけ…? まったく、なんのためにお前をここまで連れてきたと思っているんだ」

 まるで喜劇でも見るように、ディアッカは笑う。
 そして、当然のように。
 ディアッカは自らを突き刺した。

「いやぁっ…!ぁうっ…」

 今まで、アスラン以外には決して許したことのなかった場所が、強引に侵されていく。

「助けて…っ…助け……アスランっ……ぁあっ…!」

 痺れる唇は、必死に恋人を呼ぶ。
 男を締め付け、追い出そうと力を入れようとしても、
 それはディアッカに快感を与えるだけに終わる。

 嫌悪感に吐き気がする。
 こんな男と、繋がっているなんて。

(アスランっ…ごめん……っ)

 キラは助けを求めると同時に、アスランのために涙を流した。

 




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