■朝■



「んーっ」

 カーテンから差し込む朝日のまぶしさに、目が覚めた。
 時計は………7:02。
 アラームは7:30にセットしてあるから、僕にしてみては随分早い目覚めだ。
 それならば、今日は余裕をもってモーニングコーヒーでもしようかと、起き上がろうとしたその時、

「…ん?」

 隣に大きな障害物。

「…ぅ……」

 その障害物は、僕に蹴られて小さく呻いた。

(まさか…)

 僕は寝ぼけていた目を擦り、おそるおそる布団をめくってみる。
 すると…

 キラが裸で眠っていた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

 声にならない叫びをあげる、僕。
 なぜ!?なぜキラがこんなところに…!?
 慌てて、下の方も確認すると…下着はちゃんと付けていた。
 とりあえず、ほっ…とする。
 しかし…いったいどうして…?
 僕は懸命に昨日のことを思い出そうとする。
 だが、なにかガンガンとした頭痛に阻まれ、まったく思い出せない。

「んぅ……」

 その時、キラが小さく身じろぎし、ゆっくりと瞼を上げた。

「あ、キラ」
「…うわぁっ!アスランっ!?」

 僕の声に驚いたのか、キラは飛び上がる。
 しばらく、しーん…とした沈黙のあと、
 キラは自分がパジャマを着ていないことに気づき、慌てて布団を手繰り寄せた。
 じんわりとキラの目に涙が浮かび、キッと睨みつけてくる。

「アスラン……どうして、あんなことしたのさ」

 ぎく―――――ッ!
 やはり僕は、キラによからぬことをしてしまったらしい。
 あぁ、今まで妄想の中に留めていたのに、ついに現実にキラを…
 これまで積み上げてきた信頼や友情の山の、がらがらと崩れていく音が聞こえてくるようだった。
 もう二度と、キラの隣に居る事は許されないのか。

「…アスラン、聞いてる?」

 ショックで焦点の合わない僕の目の前で、キラが手をパタパタ振った。
 僕はようやく我に返る。
 と、とにかく謝らないと…っ

「ごめん!僕、なにも覚えていないんだ。キラに何をしてしまったのか。もしかしたら、取り返しのつかない事をしてしまったのかもしれない。
 けれど、解ってくれ。僕は、おまえを大切にしたいんだ!一時の気の迷いと、笑って済ませとは言わないけれど、どうか許して欲しい。
 僕は、キラの身体だけじゃなくて、本当にすべてを愛しているんだ。
 キラが好きなんだよ!」

 ほとんど、何を言っているのか解らないようなパニック状態で、僕は必死に言いつくろうが…
 キラは、

「へ?」

 と首を傾げる。

「何言ってるの?アスラン」
「…だ、だから、僕は覚えてなくて…」
「忘れちゃったの?あんな事しておいてっ…」
「ごめんっ」
「おかげで僕、全然眠れなかったんだからねっ」
「本当にごめんっ…………て、え?」

 眠れなかった?

「キラ…、いったい僕はおまえに、どこまでしてしまったんだ?」
「はぁ?…もぉ、どこから忘れてるのさ。2人でお酒飲んだことも忘れたの?」
「酒……?」

 その瞬間、僕の記憶がぱぁっと甦った。
 あぁ、そうだ。
 僕はキラを家に誘った。昨日から父も母もPLANTに行っていて、僕1人だったから。
 そして、軽いワインを飲んだんだ。好奇心で。
 それがとても美味しくて、
 つい2人で悪飲みして…それから………
 …あれ?
 それから、そうしたんだっけ?

「君は、僕を脱がせたね。自分は脱がないで」

 あ…。

「そして、散々僕にキスマークつけて、急にくかっと寝ちゃったよね」

 キラは怒りをあらわに、僕を睨み続ける。

「おまけに!よーやく落ち着いたところに、また君が寝ぼけて僕にちょっかい掛けるものだから、またキちゃって…それの繰り返しだよっ!
 いったい、どーいう神経してるのさ!!」

 僕は、叫ぶキラの右手をつかみ、キラの身体を隠している布団を剥ぎ取った。
 確かに、そこには痛々しい程にキスマークが散りばめられている。
 これを…僕が…?

「アスラン…っ」

 ギリっと僕を睨み、キラは僕から布団を取り返した。

「どうしてくれるの?こんな見えるところにも残っちゃって。僕もう、今日は人前に出られないじゃないか!」
「ごめん…」

 僕はキラに、もう何度目だろう、謝罪した。
 そして…キラを押し倒し、その上に覆いかぶさった。

「アスラン?」

 驚いて、キラは僕を見上げる。

「責任、とるよ」

 僕なりに。

「えっ…ちょ、責任って…?あ、アスランっ!?」




Top



これから先、お子様は読んじゃイヤーンです。(笑



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送