■ある日のこと。■



 ふわーっ…とした時間。
 意識は降りて、天の余韻を残した空気。
 そして…岳のぬくもり。



 岳が、おれの髪を梳いてる。
 その手が気持ちいい。
 事後の、こういった一時が好き。
 もちろん、最中もすっごく気持ちいいけど、この時間の方が、岳のことゆっくり感じられる。
「岳…」
「ん?」
 ふと呟いたおれに、岳は聞き返す。
 おれはそっと、岳の胸に頬を寄せて…
「なんでもない」
 微笑んで答えた。
 幸せ…って、本当こんなかんじ。
 自然に笑えるこの時が、きっと幸せなんだね。



「はぁあっ……あ…がく……」
 だめ。こんな声だしたら、仲間に聞こえてしまう。
 でも、抑えられない。
 岳の熱が、強すぎて…
「かける…すっげぇ、気持ちいい……」
 二回目だから、おれは多少簡単に岳を受け入れられた。
 じくじくと疼くおれが、岳を締め付けてるのがわかる。
 もう入りきってしまったのに、もっと深くに岳を導こうとしてる。
「は…ぁ……かける…可愛いよ」
「んぁっ…はっ…がくぅ……っ…」
 揺さぶって。
 もっと強く。
 おれを、もっとめちゃめちゃにしてよ。
 快感が足りないよ。
 もっと…岳が欲しいよ……
「がく…がくっ……」
「かける…」



 放たれた岳の勢いが、やっとおれの最奥を刺激する。
 それは一瞬。



 また、余韻に浸る。
 ぼーっとした視界が、徐々に開けてきて、おれは岳にねだってみることにした。
「ねっ…岳…?」
「ん?」
「おれ……もっと岳に感じさせてもらいたい…な」
 それを言った瞬間、岳の表情が絶望の色に変わった。
 えっ…なんで、そんな顔するの?
「走…おまえ……」
 信じられないくらい不安気な岳の声。
「今まで…感じてなかったのか?…気持ち良くなかったのか?」
「えっ!…ち、ちがうよ。そうじゃなくて…」
「イったことなかった…とか?」
「ううんっ!何度もイったよ」
「俺は、下手か?」
「そんなことないっ。すっごく上手だよ。キスだけで、腰が抜けちゃうくらい」
 あぁ…おれが取り繕う程、岳はどんどん不安になってる。
 うーん…どう言えばいいかな…
「だからね…その…」
 おれがしどろもどろしてると、
「悪かった」
 岳がおれをきつく抱きしめた。
 あーっもぉ…だから違うのにーっ
「違うんだってば…岳っ」
「俺は、てっきり走も感じてくれてるものだとばっかり…」
「ばかっ」
 顔…絶対赤くなってる。
 おれは、自分のほてりを感じた。
「あの…ね…落ち着いて聞いてくれる?」
「あ、あぁ……」
 抱かれたまんまの状態で、おれは話してみる。
「じつは…岳が、その…おれの中に…挿入する……じゃない?」
「あぁ」
「それってね…すっごく……気持ちイイんだけど…。岳が…中に…だ、出した時に…ね?なん…か、もっともっと気持ち良くって……。でも、それって…一瞬だけ…なんだよね」
  さーーーーーーーーーーーっ
 岳の血の気の引く音が聞こえた。
 ふと、その表情をうかがうと、真っ青。
「岳?」
 しばらく、岳は明後日を見てたけど、やっと吐き出すように言葉を紡いだ。
「俺のが…ちっせーんだな……」
「ふぇ?な、なに言ってんの?」
「……………」
 沈黙は長い。
「よし!」
 と、急に岳は振り切る様に、
「わかった」
 そう言った。
「な、なにが?」
「体位を学んでくる」
「たいい?」
「絶対気持ち良くさせてやる!走のイイトコで、絶対イかせてやるからなっ!」



 なんだか、よくわからないけど…
 その日は、2回で終わっちゃったんだよね。
 うっ…残り火が……



                             つづくかも

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